DIRECTOR
ナーサ・ニ・キアナン
NEASA Ní CHIANÁIN
ダブリンの国立芸術デザイン大学で学び、フリーランスのアートディレクターとしてアイルランドの長編映画やテレビのプロジェクトに携わった後、2001年にドキュメンタリーに転向。これまでに9本のドキュメンタリー映画(4本は長編)、1本のテレビシリーズを監督している。2004年のケルティック映画祭で最優秀長編ドキュメンタリーを受賞した『Frank Ned & Busy Lizzie』はZDF (第2ドイツテレビ)、ARTE (独仏共同出資のテレビ局)、YLE (フィンランド国営放送)など、世界各地で販売され、『Fairytale of Kathmandu』は、2007年のアムステルダム・ドキュメンタリー映画祭のシルバーウルフコンペティションで世界初公開された後、シアトル国際映画祭(北米プレミア)、エディンバラ国際映画祭(英国プレミア)など、30以上の国際映画祭に招待された。『Fairytale of Kathmandu』は3つの最優秀ドキュメンタリー賞・監督賞を受賞し、YLEなどで放映された。MEDIA、RTÉ、アイルランド映画庁の出資により制作された『The Stranger』は、第67回ロカルノ映画祭で世界初公開された。前作『In Loco Parentis』(通称『スクールライフ』)は、2016年のアムステルダム・ドキュメンタリー映画祭と2017年のサンダンス映画祭の両コンペティションでプレミア上映され、世界的な成功を収めた。『スクールライフ』は、サンフランシスコ映画祭のゴールデンゲート賞で審査員特別賞を受賞し、ニヨンのVisions du Reelでは観客賞(Prix du Public)を受賞。また、ヨーロッパで最も有望な女性監督10名が選出されたシドニー映画祭で”Europe! Voices of Women in Film”にも選ばれている。アイルランドで最も有名なドキュメンタリー作家の一人。現在、新作長編ドキュメンタリー『The Alexander Complex』を準備中。
監督コメント
⻄洋社会では、少年たちの無差別暴⼒が不穏に広がっています。異なる視点への共感を⽣み出すことで、コミュニティ間の偏りが減り、「他者」に対する寛容さが増すかもしれません。フェイクニュースの時代には、クリティカルシンキングの重要性が不可⽋になっています。私たちは、⼤勢の⼈々が⾃分たちの利益に反する⾏動を取るように簡単に操られること、間違った⼈々を権⼒の座に就かせるように説得されることを、⽬の当たりにしてきました。もし、幼い頃から哲学や批判的思考を教えることが例外ではなく、普通になれば、次の世代は⼈⽣をうまく切り抜け、より良い選択をすることができるようになるかもしれません。今、⼈類が直⾯しているすべての課題、もし私たちが⽣き残る可能性があるならば、ケヴィンのマントラ「シンク、シンク、レスポンド!(考えて、考えて、答える!)」は、私にとってかなり良い最初のレッスンのように思えるのです。
デクラン・マッグラ
DECLAN MCGRATH
25年以上にわたり編集者として活躍し、数々の賞を受賞したドラマやドキュメンタリーに携わる。BBCNIのシリーズ『Seinn Liom』(14)、『Cad É An Scéal』(13)の監督も務める。ほか主な作品に2016年ラダック・アワードでベスト・ヒストリカル・ドキュメンタリー賞を受賞した『Mary McAleese & The Man Who Saved Europe』(15/製作)。ケルティック・メディア祭賞のBest App賞を受賞した『Léígh Linn』(製作)。2019年ケルティック・メディア祭賞のベスト・アート・ドキュメンタリー部門にノミネートされた『Lomax in Éirinn』(18/製作・監督)。BBCネットワークサイトにて、”今月のドキュメンタリー”に選ばれた『Stephen: My Fight For Life』(19/監督)。2019年ケルティック・メディア祭賞のベスト・スポーツ・ドキュメンタリー部門にノミネートされた『Tír Eoghain:The Unbreakable Bond』(18/監督)など。クイーンズ大学ベルファスト、ダンドーク工科大学、ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンで映画を教えた経歴があり、映画の技術に関する2冊の本(「Screencraft: Editing&Post-Production」、「Screencraft:Scriptwriting」(フォーカルプレス/バターワース・ハインマン刊))を執筆。各書籍は5カ国語に翻訳された。アメリカの映画雑誌「シネアスト」にも定期的に寄稿している。
監督コメント
アードイン、そして北アイルランドでは、⾃殺率が異常に⾼い状態が続いていて、⼼理学者によるとこれはおそらく紛争を経験したことが原因だろう、と⾔われています。しかし、最も驚くべき事実は、北アイルランド紛争が正式に終結した1998 年の停戦宣⾔以降に⽣まれた若者の⾃殺が特に多いということ。科学者たちは、紛争後のトラウマが社会に悪影響を及ぼすだけでなく、そのようなトラウマが世代を超えて受け継がれる可能性があると⾒ています。⽣まれる前に両親や祖⽗⺟によって⾏われていた紛争の影響によって、それを直接体験していない⼦どもたちが、残酷なまでに苦しめられているのです。それは、断ち切ることが困難な、ひどく不公平な苦しみの連鎖なのです。出来上がった映画が、教育の力を示し、そして紛争後の社会が過去の束縛から解放され、若い世代が古人の考えを用いて自分たちの未来を作ることができるという希望を示す心温まる高揚感のあるものになればと願っています。
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